SPECIAL INTERVIEW BY You Masuda

11月8日に発売を迎えた記念すべき1stアルバム、『Time To Depart』が早くも各方面で好評を博しているBLACK SWEET。その彼らに、レコーディング完了直後のある日、都内某所で話を聞いた。このインタビューでのやり取りが、今現在のシーンにおいて比較対象を持たないこのバンドの成り立ちや音楽スタイルについて、あなた自身が解析していくうえでのヒントになれば幸いだ。
(取材/文 増田勇一)


――まずはアルバム完成の手応えから聞かせてください。

淳:結成が2014年で、今回が初のフル・アルバムという形になるんですけど、現時点での集大成というか、これまで活動してきた時間のすべてを詰め込んだものにはできたかなと思ってます。つまりタイトル通り出発点になるようなアルバムになったんじゃないか、と。バンドをこの先へと導いてくれる作品でもあるはずだし、だからこそ自分たちとしてもここからステップ・アップを目指していきたいですね。

 

聡史:俺も、これはまさに最高傑作だと思っていて。楽曲もかなりヴァラエティに富んだ感じになってるし、すごく満足できてます。確かにサウンド面とかの細かいところについては「もっと良くできたんじゃないか?」というのがあったりもするんですけど、自分たちでもそれを自覚できていればそこは今後改善していけるわけだし、根本的な部分、メロディとかの部分での評価がいいというのは喜んでいいことじゃないかな、と。

 

真志:うん。やっぱり実際、何よりもメロディの良さとかそういったところに重きを置いて作ってきたんで。ただ単に「メタルをやってるんだよ」とか「80年代っぽい要素があるんだよ」というだけじゃなくて、初めて聴いた時にスッと入ってくるようなメロディを作ることを重視してきたし、自分で聴いていても普通にカッコいいなと思えるし。要するに自分自身にとってのフェイヴァリット・アルバムになってるんです。そういうものが1stアルバムの時点で作れたというのは嬉しいし、同じような感想を持つ人がたくさんいてくれることを願ってます。

大地:大事なことはみんなに言い尽くされちゃって、ここでいいこと言うのはちょっとハードル高いですけど(笑)、「自分たちはこういうことがやりたいんだ!」というのが間違いなく形になってると思うんです。100%のアルバムを作るというのはどんなアーティストにとっても難しいことだろうし、自分でも果たして今回何%ぐらいのものを作れたのかというのは言いにくいですけど、このアルバムを聴いて「今後が楽しみなバンドだな」と思ってもらえるんじゃないかと我ながら思ってたりするところもあって。

――つまり、当事者としてもこのバンドの今後が楽しみになってくるような作品になった、ということですね?

大地:すごく楽しみです!

 

真志:うん、間違いないね。

 

大地:なんか、これだったら2ndも期待できるんじゃないかって思えるというか。自分たちでもかなり高い点数をつけられるアルバムになったと思う。

 

真志:かなり甘めの採点にはなりますけどね(笑)。

――アルバム収録内容については、結成以来作りためてきたものが満遍なく詰め込まれている、ということになるんでしょうか?

真志:いえ、実は違うんです。初期から元ネタがあったのは“Reach For The Sky”と“Valhalla”、“Masquerade”ぐらいのもので、他は全部、昨年末ぐらいから作ってき曲ばかりで。実際のところ、アルバムを出すことが具体的に決まったのが今年の1月のことで、「この時期にリリースを見据えるってことは、これくらいの時期までに曲を揃えないと」という逆算をして、そこから作り始めたものが大半なんです。だから結構大変な作業ではあったんですけど(笑)。

 

大地:レコーディング作業でも苦戦したところがあって、当初の日程をやや超過しちゃったんですけどね。そこで自分たちのケツを叩きながら完成させていったというか。ただ、曲のクオリティについては満足できてます。

 

聡史:うん。結局、作業開始当初から完成状態にある曲は少なかったけども、頭のなかには自分たちがこれまでに培ってきた知見だとか、思い描いてきたイメージというのが漠然とあって、それをアウトプットとして吐き出したのがここ数ヵ月だった、という話なんです。だからそういう意味では、ここ数ヵ月の自分たちだけが詰まったものだとは思ってなくて。メンバー全員、正真正銘のいいものができたと言い切れるのは、そういうところでの自信があるからだと思う。

 

――制作期間は長くなくても“構想何年がかり”というのがあるわけですよね。しかもそれを一気に形にすることができたのは、4人のなかでやりたいことがすごく明確になっていたからだろうと思うんです。

聡史:ええ、そう思います。

真志:メンバー全員のやりたいことが一緒だというのが、なかなかないことだと思うんです。でもうちの場合、全員で同じバンドのライヴを観に行ったりとか、そういうことがしょっちゅうあるんですよ。JOURNEYとか、STRYPERとか。みんな、好きなものが重なってるんです。だから作りたいものを形にしていこうとするうえで、揉めることもほとんどなくて。なんか普通にスッとうまくいっちゃうんです。

――好きなものが同じ。それが理由で集まった4人なんですか?

真志:はい、と言いたいところなんですけど、厳密に言うとそこは違っていて。

聡史:たまたまなんですよね、むしろ。

真志:まず淳と聡史が同じ大学の同じサークルで一緒にやっていて、僕は別の大学だったんですけど、彼らのいる大学の他のサークルにインカレしてたんです。その当時、知り合いを通じて「メタル好きなやつがいるよ」と聡史を紹介されて。それが大学2年の時ですね。初めて一緒にやったのはN.W.O.B.H.M.のコピー・バンド企画で、SAXONとかANGEL WITCH、もちろんIRON MAIDENとかの曲もやって。それを発端に2人で新たなバンドを始めたんです。DRAGON FIREっていうんですけど。

――これ以上ないくらいベタな名前ですね!(笑)

真志:ベタ過ぎて逆にカッコいいでしょ?(笑)その時から聡史とは一緒にやっていて。まあカヴァー・バンドというか、お遊びの延長ではあったんですけどね。ただ、その後は社会人になったりしたこともあって活動が疎かになっていって。その時点で僕は、まだ淳とは出会ってなかった。

淳:僕のほうは一方的に知ってました。ああ、歌が上手いやつがいるな、みたいな。

真志:で、今から4年前、聡史が「実はドラマーの弟がいる」と言ってきて。彼が大学進学のために上京する、と。そこで見せられたのが、大地がHIBRIAの曲を叩いてる動画で、これが実際めちゃくちゃ上手くて。で、すぐさま一緒にやる気になったんだけど……。

大地:見事に受験に失敗しまして(笑)。

 

真志:だから現役合格してれば4年前に始まるはずだったんですけど、一浪したことでその1年後から一緒にやるようになったんです、この4人で。
聡史は日頃から「バンドやるなら弟と一緒にやりたい」と言ってたし、同時に、指弾きのベースがあんまり好きじゃない彼は「ピック弾きなら淳しかいない」と言っていて。それで集まったのがこの顔ぶれなんです。

――以外にも、音楽性ありきで集結したわけではなかったんですね。

 

真志:ええ、違うんです。とはいえその時点で僕と聡史、大地は比較的好きなバンドも重なっていて。メロスピ聴いてたり、80年代のメタルに惹かれてたり。ただ、

淳に関してはどちらかというとV系的な嗜好だったんですよ。

 

淳:LUNA SEAとか、黒夢とか……。JOURNEYは知ってたけど、ここに合流するまでSTRYPERは聴いたことがなかった。

 

真志:ところが入ってすぐ、淳がすんなり順応したというか、同じ方向性になっちゃったんですよ。

 

淳:元々MR.BIGとかは聴いてたし、母親がBON JOVI好きだったので、子供の頃から車のなかでいつも聴かされていて。やっぱりメロディがいいものが好き、歌モノが好きというのがあったから。

 

大地:まあでも、LUNA SEA好きだったらメロハーも好きになるよね?

 

真志:確かに。それは納得できる。

 

淳:だからもう全然、抵抗もなく。「どんどん教えて!」みたいな感じでいろいろ聴かせてもらって。

 

聡史:とはいえ大学のサークルで、淳とはメタルも結構一緒にやってたんですよ。LOUDNESSとか、X JAPANとか。しかも彼は、ホントに吸収力がすごくあるんで。

 

――聡史さんが「バンドをやるなら弟と」と考えていたのは何故なんです?

聡史:俺、兄弟バンドというのが最強だって思ってるんです、前々から。VAN HALENもそうだし、STRYPERもそうだし。日本でもORANGE RANGEやマキシマム ザ ホルモンがそうだし。他にもSEPULTURAとか、結構いるじゃないですか。やっぱり兄弟から生み出されるメロディとかグルーヴって、絶対独特なものがあると思っていて。その可能性ってものを感じてたので、せっかくやるからには弟と、というのがあった。あとはやっぱ、大地のプレイが好きなんですよ。たまに実家に帰るたびに上手くなっていて、「こいつと組んだら面白いんじゃないか?」という確信が強くなってきて。

――とはいえ、まわりの人間からすれば「どんだけ弟が好きなんだよ!」という感じ。

 

聡史:あははは! でも実際、超仲いいっすよ。

 

大地:うん、ホントに仲はいい。

 

淳:なにしろ今も一緒に住んでますからね。

 

大地:なんか、他の家族には言えないことが言い合えたりもするし。兄弟というより、むしろ友達感覚なんです。

 

聡史:そうそう、もはや友達感覚だな。

 

大地:だから2人で一緒に住んでいても何も干渉することもないし、たまたま一緒にいる、という感じ。単純にそっちのほうが好都合だから、みたいな。

 

聡史:変なラブラブ感とかではないですから(笑)。

 

大地:でも実際、今回のレコーディングを通じて兄弟のグルーヴというのを改めて実感できたというか。やっぱり2人はすごく似てるんです。兄弟でやってる意義みたいなものも、改めて感じました。

――とはいえ、レコーディングは今回が初体験ではないですよね。以前、HIDDEN CHRISTIAN時代には3曲入りのシングルもリリースしているわけで。

 

真志:ええ。ただもう今回は、レコーディング自体の次元が違いましたね。今となっては前回の音源はデモぐらいの感覚と言っていいくらいで。詰め込んだ情報量とか、考えることに費やした時間、レコーディングそのものの時間というのも、当然ながら今回のほうがずっと長い。前回はもうホントに限られた時間のなかでできることをやったという感じでしたけど、今回はむしろ時間を決めずに、とにかく自分たちの納得のいくものを作ろうという考え方だったので。根本的なスタンスがまるで違ってるというか。

――ただ、当時と比べて音楽性自体が変わったわけではない。そこでバンド名をBLACK SWEETと改めることにしたのは何故だったんですか?

真志:正直なところ、HIDDEN CHRISTIANと付けた時点では、あんまりちゃんと考えてなかったというか(笑)。

 

大地:元々、うちの兄が1人で作ってた頃に“隠れキリシタン”という名義を使ってたんです。

 

真志:そもそも、あの名前の由来は何だったの?

 

聡史:俺、実はクリスチャンなんで。洗礼も受けてるし。メタルと宗教って相性もいいし、インパクトもあるんじゃないかな、と。ただ、そんなに広く公言してることではなかったので、一応“隠れ”にしてたんです。

 

淳:初めて知った!(笑)

 

真志:で、それを英訳してHIDDEN CHRISTIANになったんです。とりあえずその名前でやってきたんですけど、僕たち全員がクリスチャンというわけでもないし、なんとなくその名前だと「これはダークなゴシック・メタルかな?」みたいな先入観を与えることになるんじゃないか、という気がして。実際、音楽的には宗教的要素はゼロだし、その名前のままだと実際の音楽性や姿勢とのギャップがあまりに大きいんじゃないか、と。それよりは、名前を出しただけで「あ、これはきっとこういうバンドだよね」というのが伝わったほうがいいだろうという話になって。そこで僕は、本当にSTRYPERのマイケル・スウィートが大好きなので、SWEETという言葉を含んだ名前にしたいと考えたんです。同時に、バンドの音楽性をどんな言葉で体現するべきかと考えた時に、スウィート・メタルという言葉が浮かんできて。

 

聡史:いい響きだな、と思いましたね。

 

大地:結構甘いですからね、実際。

 

真志:僕自身の声もわりと甘めだというのは自覚してるし。

 

淳:メロディも歌詞もそう。見た目も……甘いのかな?(笑)

 

真志:ただ、それをバンド名にするのはどうかと思ったし、メタルはやっぱり黒いイメージがあるから、ということでBLACK SWEETという名前にしたんです。そこで「もしかして、このSWEETというのはマイケル・スウィートのこと?」と思ってくれる人がいてくれれば、それもそれで嬉しいし。

大地:そこはちょっと、ダブル・ミーニング的な感じで。

 

――つまりこのバンドの音楽は……甘口メタル?

真志:甘口ですね(笑)。結構ライトで聴きやすい部類に入るもの。だけどサウンド自体はしっかりメタルしてる、という自負があります。

――自分から甘口だと認めるメタル・バンドってめずらしいと思うんです。辛口な硬派であることを表に出そうとするのが常で。

大地:確かに。でも、そこまったく抵抗なかったですね。元々、僕らがリスペクトしてるSTRYPERも完全にスウィートなメタルじゃないですか。実際、僕らの今回のアルバムの5曲目に入ってる“Hold On”とかって、絶対他のバンドはやらないタイプの曲だと思うんです。少なくとも今、最前線でやってるメタル・バンドはやってない。こんな甘い曲に真正面から取り組めるのは、BLACK SWEETだけじゃないかと思う。

 

真志:甘いよね、確かに。

 

淳:しかもそれを恥ずかしいとは、まったく思っていないんで。

 

――甘いものを、てらいなくできる。それもまた信念が伴っているからこそだと思います。

大地:実際、音楽的な根幹の部分はHIDDEN CHRISTIAN時代から変わってないんですけど、最初のうちはプログレッシヴ・メロディック・ハード・ロック・バンドとか自称してたんです。プログレも好きなんで、それを混ぜたら面白いのかなと思って。

 

真志:とはいえ僕らはそこまで超絶なテクニックがあるわけでもないし、むしろもっとストレートにメロディ主体にやっていったほうがいいんじゃないか、と。最初のうちはちょっとこざかしく変拍子を使ったりもしてたけど(笑)。

 

聡史:確かに最近は使わなくなったね、変拍子。そういう意味ではやっぱり初期には試行錯誤があった。でも、やっぱり4人の最大公約数的な共通項というのはメロハーだな、と。このアルバムを作ったことで、言葉にせずとも全員がそこに改めて気付かされたというか。結果、ヴァラエティに富みつつもストレートな作品になったと思うし、そこに反応してもらえる人にはこのバンドはドンズバじゃないかと思う。

 

――攻撃的な曲、速い曲でもこのバンドの場合、辛口にはならない。そこが興味深いです。

大地:多分そこで味を決めているスパイスは、真志の歌声だと思うんです。メンバーもそこが気持ちいいというのをわかってるから、作曲段階からそれを際立たせようとするし、そもそもみんなの気持ちいいツボがそこで重なってるんで。

 

――誰もやっていないことをやろうとすると、どこかキテレツなもの、よりエクストリームな音楽スタイルになりがちだと思うんです。しかしこのバンドの場合、いちばんやりたいことというのが王道的であるにもかかわらず、今、誰もそれをやっていなかった。

真志:そうなんですよ!

 

大地:たとえば4人のストライクとして重なってるのはSTRYPERだったりするわけですけど、僕は兄経由であのバンドを知ったんですね。だけど兄は兄で、
真志経由で知ったはずで。

真志:そう、僕が布教を始めました(笑)。YOU TUBEであれこれ見ていた時、たまたまSTRYPERの映像を見つけて、なんじゃこれは、と衝撃を受けて。それで彼らの「IN GOD WE TRUST」を聴いたのが大学1年の時のことです。実はそれまでは、PANTERAがいちばん好きだったんですよ。高校時代はホントに夢中だったし、ダイムバッグ・ダレルが亡くなった時は大泣きしたくらいだし。で、その後、ハイトーン・ヴォーカルのメタルにハマっていろいろ聴きあさってるなかでSTRYPERに出会ったんです。小さい頃からJOURNEYとかBON JOVIは好きだったし、いいメロディが好きというのは元々あったけど、自分のなかで決定的だったのはSTRYPERでした。

 

聡史:僕は僕で、真志から布教される前にSTRYPERの中古盤を買っていて。持ってるCDが違ったんで、お互い貸し借りしてみたり。メタルってヴォーカルの力量に左右されるところもとても大きいと思うんです。そういう意味で、STRYPERは自分たちがバンドをやっていくうえでお手本にもなると思ったし。

 

淳:僕の場合、ここに加わった時に参考資料として何十枚もCDを渡されて、そのなかにSTRYPERが妙にたくさん含まれていて(笑)。そこから聴き始めて好きになった。

 

大地:象徴的なのはSTRYPERですけど、要するに4人とも、メロディがしっかりしていてコーラスが分厚いバンドが好きなんだと思います。

 

聡史:そこは重んじたいところですね。コーラスができるというか、やろうとするバンド自体が少ないじゃないですか。ちゃんとメロディを届けるうえで、その強みを最

大限に引き出すうえでも、コーラスには力を入れていきたい。

 

――なるほど。さて、このへんで各メンバーのキャラクターについても少し掘り下げてみたいんですが。誰か1人について他3人が好き放題語る、という形で話を進めていきましょう。まずは最年少の大地さんから。

淳:大地はホントに弟キャラだよね。

 

真志:そうそう。弟キャラで、愛されキャラ。

 

聡史:まあ、憎めないデブです(笑)。

 

真志:べつに、そんなにデブじゃないけど(笑)

 

淳:でも、いちばん社交的だよね。

 

真志:行こうかどうか迷う前に自分から出向くタイプですね、彼は。しかもそこで、ちゃんとコネクションを作ってくる。年下だけどいちばん大事なことをわきまえてるのが大地かもしれない。

 

聡史:社交性と吸収力がありますね。メタル界隈のことを誰よりもわかってる。

 

淳:あと、あまり表には出さないけどかなり努力してる。練習量とかの面でも。

 

聡史:ただ、悪いところもあるんです。まず、家の電気を消さない。勝手に僕の自転車乗って行って、それをパクられる(笑)。勝手の俺のお菓子を食べる(笑)。でも、ドラムは上手いっすよ。

 

――そして次は真志さん。

聡史:俺、ひと目惚れでしたよ。かつてサークル時代のライヴを初めて観た時、SKID ROWとかMEGADETHのカヴァーをやっていて「なんだこいつ、クソ上手えじゃん!」と思って。こういうヴォーカルと一緒にやりたいなと思いつつも、俺自身はチキンなんでなかなか近付けずにいて(笑)。結果、向こうから声をかけてもらえて、こいつは絶対手放すまいと思いました。だって、ホントに上手いですから。こんなヴォーカル、なかなかいないですよ。

 

真志:いつになく褒めてくれるねえ。嬉しいねえ(笑)。

 

大地:前にDRAGON FIREのライヴ音源を聴かせてもらったことがあって、それが“Valhalla”の原型だったんですけど、その時にすごく衝撃を受けて。めちゃくちゃカッコ良かった。あと、人間的にはすごくきちっとしたタイプ。僕ら兄弟がルーズなんで、それを引っ張っていってくれてますね。

 

淳:精神的なリーダーが聡史だとすれば実務的なリーダーが真志かな。近藤勇と土方歳三のような関係というか(笑)。

 

大地:あと、何かにハマると深入りしちゃうタイプ。

 

淳:だから、食にもうるさい。いちばん好きなものが100個ぐらいあるタイプですね(笑)。あと、猫を飼っていて、ものすごく溺愛してる。

 

真志:猫への愛情は半端ないです。ちなみに“Hold On”は、実はその猫への愛を歌ったものなんです(笑)。9年ぐらい飼ってるんですけど、年々愛が深まってきていて。

 

聡史:キモいくらいのレベルで愛してますね(笑)。

――このバンドの甘さの根源がわかりました(笑)。そして聡史さんは?

大地:僕以上にルーズですね。だから「おまえの兄ちゃんもうちょっとしっかりしてくれないと」という苦情が僕のところに来てしまう。

 

真志:だけどそのぶん、いい曲作ってくるというか。放っておいたほうがいいタイプなんですよ。

 

大地:ユルくしてないと、曲のアイデアが出てこないんでしょうね。

 

真志:天才肌というか、ふとした時にひらめくタイプなんで。

 

淳:最初に会った時の第一印象としては……胡散臭い人だな、と。顔が胡散臭いじゃないですか(笑)。

 

大地:ということは、血が繋がってる俺も胡散臭い?(笑)

 

淳:そうかも(笑)。ただ、そんな第一印象であるにもかかわらず、話してみたら意外といいやつだった、みたいな。あと、実はお互い少女漫画好きなんですよね
(笑)。

聡史:そうそう。女性的な感覚というか、ロマンチストっぽいところが俺と淳は似ていて。

 

大地:それも甘さに繋がってるのかもしれない(笑)。

 

真志:僕のなかでは、恋愛相談をする相手は聡史ですね。

 

淳:個人の胸のうちを明かしやすい相手なのかもしれない。真剣過ぎないというか、フランクな感じだからこそ。

 

聡史:なんかずいぶんなことを言われてる気もしますけど、俺は前を向いて生きていこうと思います(笑)。

 

――そして、淳さん。先ほどコーヒーに砂糖を何杯も入れるのを見て、本当に甘口なんだなと気付かされました(全員爆笑)。

真志:確かに淳は甘党だね。

 

大地:初めて会った時、なんかオラついてる印象だったんですよ。初期のプレイにもそれは出ていて、マイクスタンドを蹴って倒したりとか。一回暴れ出すと止まらない感じがあって。

 

真志:どっかでスイッチ入っちゃうんだよね。

 

聡史:だけど人間的には誰よりもしっかり者なんじゃないかな、プライヴェートも含めて。ルーズなところが一箇所もない。むしろ、非の打ちどころがなさ過ぎてムカつくかもしれない(笑)。

 

真志:確かに。俺は淳のようには生きられないな。

 

聡史:バンドにおけるお母さんだと思うんですよ。派手さはないかもしれないけど、陰で支えてくれてるというか。だけど単なる縁の下の力持ち的な感じで淡々と弾いてるという感じでもない。そういう淳のスタイルが俺は好きで。

 

大地:バンド内でルーズなところがあればケツを叩いてくれるのも淳さん。なんかホントに非の打ち所がないですね。あと、聞き上手でもある。お喋りなメンバーもいるなかで落ち着いていて、まとめてくれる。ただ、聞かないと何も言わないところがある。

 

真志:聞かれなくても喋る俺とは違ってね(笑)。だけど聞けば何でも答えてくれる。

 

――4人それぞれのパーソナリティの違いも、そのデコボコが上手く噛み合っているのも、とてもよくわかりました。

大地:絶妙に噛み合ってますよね。うちのバンドって、今度10年活動したとしても変わってなさそうな気がするんですよ。プライヴェートでも仲いいんで。

 

真志:普段から仲いいバンドというのも、あまり聞かないもんね。全員で遊びますから、うちの場合。

 

大地:一緒に銭湯行ったりするし。まさに裸の付き合いって感じで。

 

聡史:先週もカラオケからのボーリング、みたいなコースで遊んだし。

――そんな公私ともに波長の合う4人は今、どんな野望を抱いているんでしょうか?

大地:90年代のロック・シーンのキラキラ感をもう一度、日本に取り戻したい。

真志:しかも当時の音楽を焼き直すんじゃなく、現代のものとしてね。

 

聡史:極論を言えば、自分たちの音楽をお茶の間にまで広めたいですね。実際、その可能性は秘めてると思いますもん。マニアックな人にしか届かない音楽ではないと思うから。シンプルにカッコいいことをシンプルにやるというのが、本来はいちばんいいはずだし、リスナーもそれを求めてると思うんです。でも今はなんだか、難しいことを難しそうにやってる人たちが多い気がするし、シンプルにカッコいいバンドって意外と少ないと思うんですよ。そういう意味では、自分たちみたいなバンドを求めてくれる人というのも絶対にいると思うし、ホントに老若男女に届くものをやってるつもりなんで。

 

淳:しかも、とても前向きな曲が多い。こんな時代だからこそ前向きなメッセージをどんどん発信していって、いい空気を作っていきたい。そういう想いはどんどん強まってきてますね。

――しかも重要なのは、時流を意識しながらそういう音楽を狙いすましてやっているのではなく、純粋に好きでやっているということ。

 

聡史:まさに! 実際に聴いてもらえれば、そこは絶対わかってもらえるはずなんで。BLACK SWEETの音楽が、すごくピュアなものだってことが。

 

Interview By 増田勇一